武雄市弓野で作られている
弓野人形は、明治15年、
博多人形師・原田亀次郎が長崎に向かう途中、弓野に立ち寄り、そのままそこに住みつき人形を作ったのが始まりです。
江口人形店・江口勇三郎さんご夫妻は、江口家の娘婿となった亀次郎から数え三代目。江口勇三郎さんが人形の型作り、奥様は色絵付けをご担当されます。
博多人形の流れをくむ弓野人形は、民芸品として全国各地で作られている土人形のなかでも素地つくりが丁寧で、素朴ななかにも品格をかねそなえています。思わず微笑んでしまう愛らしい表情と存在感は、ややマニアックな好みではありますが、いつまでも作り伝えていただきたい逸品です。

工房内には、初代・亀次郎作のものから、
おしくらマンまで、たくさんの原型が並んでいました。お多福の顔がついた胡麻炒り器は、人形など作ってはいけなかった戦時中のもの。
「
肉弾三勇士」も戦で勇敢な働きをした、いわば当時のヒーロー。
人形たちにも、時世が反映されています。